Merry Christmas!

※原作で12月を迎える前に書いたIFネタです



「もーすぐクリスマスかー」

 12月も下旬に差し迫ったある日の放課後、ホームルームも終わったあとE組の女子達はわいわいと楽しそうにおしゃべりをしていた。二学期の期末テストが終わってしまえば、もう明日明後日あたりからは冬休みだ。彼女達の話題は冬の諸々のイベント事に移る。すると、桃花がふいにそう呟いた。

「あーあ、また街中にカップルが溢れる日が来るのねぇ」
「街がキラキラしてるのは見てて楽しいんけどなー」
「ちょっと誰か1人くらいクリスマスに予定ある人いないわけ?」
「「「ないなぁ……」」」

  莉桜とカエデの言葉にみんな様々な表情で頷き合う。悪戯っぽく微笑みながら尋ねる凜香の言葉にまた多くの者が残念そうにこう答えるので、は眉を下げながらくすくす笑うのだった。

もやっぱりクリスマスデートとか興味あるのね?」
「わぁっ!く、くすぐったいよ莉桜ちゃん!そりゃあまぁ、憧れるかな……」

 莉桜にこちょこちょとくすぐられながら、は頬を赤く染めつつ答える。答えながら前原を思い浮かべているであろうことは、ここにいる全員が気付いていた。が前原に片想い中であることは、修学旅行以来E組女子みんなに知れ渡っていることだった。

生駒さんは、例えばどんなクリスマスデートに憧れる?」
「え?えーと……普通に公園とか買い物に行ったり、一緒にイルミネーションを見たり……かなぁ」
「イルミネーションは定番だよね〜!」
「彼氏と手を繋いでイルミネーションを見て……わかるー!憧れるよね!」

 メグからにこにこと温かな眼差しを向けながら尋ねられ、は雑誌やテレビでよく見るクリスマスのデートスポットを思い返しながら答える。それは陽菜乃や桃花をはじめとする女子達からも同意を得た。「大人になって、車持ってる彼氏とドライブデートとかも良さそうだよね」「夜遅くまで一緒にいられるしね〜」と話はどんどん膨らんでいく。

ちゃん、今までのクリスマスはどう過ごしてたの?」
「家族と過ごしたりかなぁ。一年生の時は榊原くんのお家のパーティーに誘われて、クラスの子達と行ってたよ」
「パーティー!?榊原ってあの五英傑のかー。ちなみに去年は?」
「去年は補習だったんだ。でも終わってから菅谷とお買い物に行ったの」
「去年から仲良しだったんですね」

 今度は有希子から聞かれ、は答えながら豪華なパティ―に驚いたことを思い出した。ちなみに二年生の時は、進学クラスのため強制補習でクリスマスもイブもほぼ半日潰されてしまったのだ。それでも菅谷と出掛けたことを「楽しかったな」とは語る。笑顔のにつられて愛美もにこにことこう言った。

「パーティーかー…」
「そーだ!みんなクリスマス予定ないんならさ、E組のみんなでクリスマスパーティーしようよ!」
「あっ賛成!先生達も呼んであげる?」
「呼ばないときっと怒るわよ。ていうか教室でやんない?」
「殺せんせーいるし、それがいいかもね」
「じゃさっそく先生達に話に行こう!」

 きゃっきゃと楽しそうにはしゃぎながら女子達は教室を出ていった。一気に静かになった教室は、女子達とは反対側の、実はひっそり教室の後方で集まっていた男子達だけになる。決してそんなつもりはなかったのだけど、みんな女子トークには興味津々でついつい耳を傾けてしまっていたのだ。そして女子達がいなくなってから、彼らの視線は菅谷に向けられる。その菅谷は、いつも通り飄々とした様子でスケッチブックに鉛筆を走らせているのだけど。

「前にも言った気がするが、なんなんだ菅谷お前」
「なにが」
「クリスマスに2人で出掛けるって……!わかった、今は違くても前は付き合ってたんだな!?」
「違ぇーっつーの」

 どこか興奮した様子の岡島に、菅谷はスケッチブックから目を離さないままさらっと否定する。仲が良すぎるほど仲の良い菅谷とについて誰かがツッコミを入れて、その度に菅谷が否定をして……こんなやり取りも何回あったことか。菅谷とが仲の良い友達であることはちゃんと理解できていても、やっぱり何か一言言いたくなるのは岡島だけではないのだった。

「それより、やっぱイルミネーションは定番だよな〜。いいなあ、俺も生駒さんと見に行ってみてーなー」
「お前と生駒さん2人でとか、たぶんE組総出で監視されるぞ」
「調子乗んな女たらしクソ野郎ー」
「そのコードネームやめろって!」

 ひとり楽しげに夢見る前原に、三村や杉野から冷たい眼差し付きの茶々が入る。渚や磯貝は苦笑しながら「まあまあ」と彼らを窘め、その隣で菅谷は面白そうに口角を上げていた。
 それから、男子は男子で憧れのクリスマスについてちょっぴり照れつつ語り合う。そこへがひょこりと教室に顔を覗かせた。なにやら盛り上がっている男子勢に声を掛けにくそうにしていたが、カルマが気付いて声を掛けた。

生駒さん、どしたの〜?」
「あっうん。E組みんなでクリスマスパーティーやろうって話になってて、いま殺せんせー達ともいろいろ決めてるから、みんなも呼びに来たんだ」
「そっか、ありがとう生駒さん。みんな行こうぜ」
生駒さん生駒さん!パーティーの日こっそり抜け出したりしねー?」
「えっ、えっ!?」
「「おい女たらしクソ野郎!!」」
「だーかーらーっ!」

 その後、教員室ではE組の生徒と教師陣が集まり、委員長コンビを中心にクリスマスパーティーの計画を進めていった。一年生の時とも二年生の時とも違ったクリスマスになりそうで、はわいわい話し合うクラスメート達を眺めながら楽しみでいっぱいな気持ちになるのだった。